製造業で使われるあらゆる種類の計測器については
戦後の日本の経済復興を成し遂げたのが、日本が保有する優れたもの作りの技術です。そのモノづくりの技術の中心が、例えば自動車工場などのような製造業にあります。今から10年くらい前に計量法の大幅な改定がありました。これらの製造業で使われるようなあらゆる種類の計測器については、然るべき検定業者からJCSS校正を受けたものではなければならなくなりました。どうして突然このような変更になったのでしょうか。昔のトータルクオリティコントロールの時代には見られなかった変化です。それにはやはり理由がありました。QC活動は意外と労働者たちに反発を食らったのです。それは長時間のQC活動に対する賃金の支払が十分でなかったことが大きな要因です。そのためにアメリカから導入されたトータルクオリティコントロール品質管理システムは徐々に衰退する運命となりました。
トレーサビリティーとはいったいなんでしょうか
それに代わって登場してきたのがスイスのジュネーブに本部があるISO国際標準化機構が提唱する品質管理システムです。スイスのジュネーブに本部があるISO国際標準化機構が提唱する品質管理システムの最重点課題がトレーサビリティーです。トレーサビリティーとはいったいなんでしょうか。これは英語なのですが、直訳すれば、さかのぼって検査ができるということになります。もう少しわかりやすい事例で紹介しましょう。例えば建設工事でたくさんのコンクリートを打設します。建設工事では壁や柱のコンクリートを打つ作業が中心となります。それらのコンクリートの品質を保証するために、コンクリート打設日に場所ごとにテストピースが採取されます。そしてコンクリートの品質は、コンクリートを打設した日に遡って、圧縮強度試験により確認されるという全く画期的なシステムです。
その計測器の確からしさを証明できる
製造工程で使われる計測器には長さを測るものが多いです。一般的なコンベックスルールのようなメジャーから、もっと精密な長さを測るためのノギスやマイクロメータといったものがあります。これらの長さを測る計測器は然るべき業者によりJCSS校正の認定を受けたものでなければなりません。10年前の法律改正でそう決められました。長さを計測するような計測器については、もしもそれが製造工程で使われるものであれば、その傍らには計測器の品質を保証するようなJCSSの保証書が必要であるということです。その検査の方法ですが実にシンプルです。その方法は国家が保有する標準器との比較になります。国家が保有する標準器により計測される数値と、実際に工場で使われているような計測器の計測値の誤差について一覧表にまとめます。最終的な方法としては、分散や標準偏差などを使って、その計測器の確からしさを証明できるというのが、素晴らしいJCSS校正の強みです。